墨の香り
- houra5
- 2018年4月16日
- 読了時間: 4分
こんにちは、いわき市のアロマテラピーサロンKalenです。桜もあっという間に散ってしまい、若葉が日毎に緑を増して来ました。私はうっかり(^.^)ブログを忘れて、ワクワクと花や草を見つけては鼻を近づけて春の香りを(*´з`)楽しんでいました。
今日は墨の香りについて、ふと思った事を書きます。先日実家へ行って倉の中を整理していたら、小学校の時お習字教室で書いた作品が出てきました。今の私より上手に文字が書けていて、複雑な気持ち。そして、その時、半紙に鼻を近づけで匂いを嗅いだ訳でも無いのに、墨の香りがしてきて教室の様子が映像で浮かんできました。
小学校の時、好きな墨がありました。近くの雑貨店(50年前の四倉町の田舎)で買える物でしたが、香りが気に入っていて磨り心地も滑らかだった記憶があります。記憶を頼りにネットで探して見たら有りました!『紅花墨』古梅園という老舗の物でした。勿論ランクはたくさん在りました。50年前と香りが同じかどうか分かりませんが、匂いを嗅ぎたい気持ちになり、そろそろ手習いでも始めてみようかと思う今日この頃です。
墨の香りは香料の香りです。原料の膠の匂い(昔は匂いが強かった)をマスキングするために使われたのが最初のようです。墨はなたね油に灯心を浸して燃やし、それで出来た煤を集め膠で固め、灰につけて水分をとり、型にはめて形をとり、乾かして作ります。その工程の中で香料を入れます。※膠(今で言うコラーゲンとかゼラチン)
子供頃、書く前に墨を磨るのは心を落ち着けるためで、ゆっくり気持ちを込めて擦りなさいと言われましたが、しぶしぶ仕方なく磨っていたように思います。今思えば、墨の香りは心が落ち着つき、幽玄な雰囲気に浸れる香りで、まさに書を書く前に墨を磨る気分にふさわしい香りではないかしらと思います。こんな香りの効果を知っていたら、墨を磨る時間ももっと豊かな気持ちで楽しめたかもしれません。
昔の墨には天然香料として、龍脳、甘松香、麝香、白檀、丁字、梅花、霍香などが使われていたようです。現在は合成香料がほとんどのようですが、墨らしい香りは昔から使われていたものに似せているのでしょうか?今はマスキンズする必要はないし、墨液を使う方が多いかもしれませんし、もしかすると墨の香りがリンゴの香りなんてこともあるかしら?、、なんて(^.^)想像してしまいます。
龍脳・・・ボルネオール。フタバガキ科の常緑高木。龍脳樹の木からしみ出した樹脂が結晶化したもの。清々しく、樟脳(カンファー)よりふくよかで優雅さを感じる香り。
甘松・・・スパイクナード。オミナエシ科の多年草。根や茎から香料を採ります。ウッディーで少しカビ臭さを感じるような香りだが、沈香や白檀などと合わせると、濃厚な甘みを感じさせる香りになるよう。「ナルドの香油」の原料でもありますね。
麝香・・・ムスク。ジャコウジカのオスの臍と生殖器の間にある香嚢に溜まる麝香腺分泌物。動物性香料。薄めた香りは、とても素晴らしく高級香水にも使用される。
白檀・・・サンダルウッド。他の植物に寄生し栄養分を吸収しつつ自らも光合成する半寄生植物。ほのかに甘さを含む優しい木の香り。
丁字・・・クローブ。フトモモ科の木であるチョウジノキの開花前の蕾を乾燥させたもの。スパイシーな香りで歯医者さんの匂いに甘い香りと舌にピリッとするような刺激味
梅花・・・沈香など数種のブレンドで梅の香りのようにしたもの。平安時代の貴族たちが家伝の秘法に従って練香をブレンドした中で、香りが洗練されて「六種薫物(むくさのたきもの)」と言われたものの一つ。
霍香・・・「広藿香」(シソ科の多年草であるパチュリ)と「土藿香」(シソ科の多年草、カワミドリの葉や茎を乾燥)の二種類ある。パチュリは日本人なら墨の匂いと感じる。
確かにどれも幽玄の世界に入れそうな落ち着いた神秘的な香りですね。高級な物はやはり良い香りがするのでしょうか。ゆっくり墨を磨りながら香って見たいものです。
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